2025.6.16
東京・檜原村の森の中に誕生した、会員制アウトドア施設「HINOKO SHELTER」
この場所のランドスケープ設計と施工を、私たちが担当させていただきました。
このプロジェクトは、いつもの“設計する”というスタート地点から少し離れ、
まるで自然に教えられるような、そんな経験となりました。
きっかけは、施主であるTrailheadsさんが初回のミーティングで語ったある一言。
「自然の叡智をさずかる」
この言葉に導かれ、
私たちは「どうつくるか」ではなく、「どう受け取るか」を考えるようになりました。
今回もっとも悩んだのは、
どこまで人の手を加えるか、というさじ加減でした。
整えすぎれば、自然の豊かさが薄れてしまう。
手を加えなさすぎると、空間としての魅力がぼやけてしまう。
そんな中でふと感じたのは、
「設計者の意志」よりも「土地の声」に耳をすますことの大切さでした。
私たちが選んだのは、自然によりそうような設計アプローチです。
・素材は、地域で育った木や石を中心に選びました
・動線や配置は、地形を生かしながらシンプルに
・植栽は、周囲の森とゆるやかにつながるように配置
こうした工夫により、HINOKO SHELTERには
「きっちり決まっていない自由」が生まれました。
人の存在が控えめだからこそ、訪れる人が風景の一部になれる。
その時間が、自然と向き合うひとときになっていくのだと思います。
「つくるから一歩引く」という姿勢は、
決して受け身なわけではありません。
カタチをつくるよりも、関係を育てていくほうが、
ずっと繊細で、難しい。
このプロジェクトを通じて、
私たちは“自然とともにある設計”の、もうひとつの可能性に気づきました。
この視点は、ランドスケープだけでなく
建築、まちづくり、地域との関わりなど、さまざまな場面にも通じるものだと思います。
東京都檜原村、秩父多摩甲斐国立公園の森の中にある、会員制のアウトドア施設。
秋川渓谷の清流や薪炭林の自然に包まれ、地域の素材を活かした空間は、
“自然と共にある”という思想のもと、風景に静かに馴染むようにつくられています。
Produce / Concept Design / Design Direction:Yohei Yamaguchi (TRAIL HEADS)
Project Management:Momoko Masuda, Nozomi Takayama (TRAIL HEADS)
Project Support:Yuri Ishiguro, Kyoko Ogura (TRAIL HEADS)
Architecture & Interior Design:Tomoyuki Eguchi (ALP), Yuta Tsunokawa(Tsunokawa Yuta Office)
Construction:光壽建築, Issei Hada (HARDER INTERIOR LABORATORY) , Takuro Masumori, Ohashi Sakan, Danroya
Landscape:Shotaro Hata(EN LANDSCAPE DESIGN)
Brand Design:Hisa Kizu
Art Direction:Shinpei Onishi
Photographer:Masayuki Nakaya