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2026.8.27

ー レンズの向こうに残る景色 ー

撮影される景色から考えた、ハウススタジオの植栽

景色は、どこから眺めるかによって、見え方が変わります。

外を歩きながら見る景色。
建物へ向かう途中で目に入る景色。
室内の窓越しに眺める景色。

そして、ときには、カメラのレンズを通して切り取られる景色もあります。

今回ご紹介するのは、白金台にあるハウススタジオの植栽です。
ファッションやCMなどの撮影に使われるこの場所では、窓の向こうの緑も、写真や映像を構成する大切な要素になります。

どの位置から、何が見えるのか。
人物や商品と重なったとき、どのような印象になるのか。
この場所ならではの使われ方を考えることから、計画は始まりました。

まず、景色を整理することから

計画前の斜面には、隣地から伸びてきた蔦や、長い時間をかけて繁茂した植物が複雑に絡み合っていました。
室内から眺めると、枝葉に視線が遮られ、その奥にある石積みや高低差も見えにくい状態でした。
そこで、蔦を取り除き、残った植物も整理したうえで、この場所がもともと持つ地形と石積みを見える状態に戻しました。

植物を減らすことは、緑をなくすことではありません。
何を残し、何を取り除き、どこに新しい植物を重ねるのか。
一度、景色を整理することで、この場所に必要な植栽の輪郭が少しずつ見えてきます。

植物を整理したあとに現れたのは、斜面に沿って積まれた既存の石積みでした。
石の大きさや形は一様ではありませんが、積み方は整っています。地形を均一につくり替えるのではなく、この石積みと高低差を植栽の骨格として残しました。

季節が変わっても、緑の骨格を残す

撮影では、冬に夏の場面をつくることもあります。
そのため、お客様からは、季節を問わず緑の印象を保ちたいというご要望がありました。
常緑の植物を中心に、宿根草や球根植物を組み合わせ、葉色はシルバーやブルーグリーンを基調としています。

植栽の軸となるのは、枝が垂れる樹形の松、シルバーグミ、アカシア・ブルーブッシュです。
上へ伸びる植物、横へ枝を広げる植物、壁面へ垂れる植物。

樹形の違いを生かし、窓から見たときに高さと奥行きが生まれるよう配置しました。
上段には、成長した枝葉が壁面の隙間をやわらかく覆うよう、枝が下へ垂れる樹形の松を選んでいます。

お客様からいただいたイメージ写真の雰囲気を受け取りながら、自然さの中にも輪郭を感じられる構成へ整えました。

窓の端に、印象を引き締める輪郭を

室内から撮影するとき、窓の向こうに見える範囲は、一枚のフレームのようになります。
お客様から希望されたアガベは、あえて中央ではなく、室内から見た画角の端に配置しました。
人物や商品の見え方を邪魔せず、アガベのはっきりとした輪郭が背景を引き締めます。
見せたい位置だけでなく、アガベに適した日当たりと水はけも考慮し、両方の条件が重なる場所を選びました。

屋外から見ると、アガベの輪郭が石積みやシルバー系の植物の中でアクセントになります。

石積みと植物を、ひとつにつなぐ

既存の石積みがつくる高低差に沿って、姿の異なる植物を重ねています。

石の間から立ち上がる植物。
斜面に沿って葉を広げる植物。
上段から下へ垂れる植物。

それぞれの姿を地形に合わせることで、石積みと植物がひとつにつながるよう整えました。

段差の下部には、水が集まりやすい場所があります。
その湿潤な環境に適した植物を選び、敷地の特徴を植物選定の手がかりとして生かしました。

撮影の背景から、その場所の風景へ

完成したばかりの植栽には、まだ植物同士の間に余白があります。
これから枝葉が伸びることで、窓の向こうの見え方も少しずつ変わります。
その変化に合わせて、樹形や植物同士のバランスを整えていくことも大切です。

EN LANDSCAPE DESIGNでは、建築や敷地条件だけでなく、その空間がどのように使われ、どこから見られるのかまで考えながら植栽を計画しています。

撮影スタジオに限らず、店舗やオフィスなど、室内からの見え方や撮影される場面を踏まえた植栽についても、設計段階からご相談いただけます。

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